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「管理監督者」と「残業代」

「管理監督者」と「残業代」

「役職を与えているから残業代は不要」という思い込みが、

数千万円規模の経営リスクに直結した象徴的なニュースが入ってきました。


ある公立の大型医療機関において、約8,300万円もの時間外手当が未払いだったとして、労働基準監督署から是正勧告を受けた事案です。


対象となったのは職員41人。1人あたり平均200万円近い支払いとなります。


今回、組織側は対象の職員を、残業代支払いの対象外となる「管理監督者(労働基準法第41条第2号)」として扱っていました。


しかし、労基署はその実態を否定しました。


なぜ、組織側は「払わなくていい」と判断し、労基署は「いや、払いなさい」と断じたのか。

その核心にある「管理監督者」と「残業代」について解説します。


否定された主な理由は、以下の「実態とのズレ」にあります。



1.経営への参画実態がなかった


単に「課長」「部長」という肩書きがあるだけでは不十分です。


組織の経営方針を決定する会議に参加しているか、採用や人事考課に実質的な決定権を持っているか、という点が厳しく見られます。


今回のケースでは、その権限が極めて限定的だったと推測されます。


2.出退勤の自由がなかった


管理監督者は「自分の裁量で仕事の時間をコントロールできる」はずの存在です。


遅刻や早退によって賃金をカットされたり、一般職員と同じように厳格なタイムスケジュールに縛られていたりする場合、「裁量がない=管理監督者ではない」とみなされます。


3. 責任に見合う「特別な手当」が不十分だった


残業代を払わない代わりに、基本給や役職手当で十分に優遇されている必要があります。


残業代を支払っている一般職の部下よりも、残業代が出ない上司の方が「時間あたりの単価」が低くなっているような逆転現象が起きている場合、まず認められません。


⚠⚠【セルフチェック】管理監督者に該当するか? 3つのポイント⚠⚠


 あなたの組織の「役職者」は大丈夫でしょうか。

 以下の3点を簡潔にチェックしてみてください。


 □ 職務内容と権限 

   経営者と一体的な立場で、採用や部署の重要事項を「自分で決める権限」があるか? 


 □ 勤務態様の裁量 

   出退勤の時間を自分の判断で決められるか?(遅刻・早退の概念がないか)


 □ 賃金等の待遇 

   役職手当などが、残業代を支払わなくて済むほど「十分に高額」か 



4.2026年の労務管理は「実態」がすべて


「昔からこの役職は残業代なしだったから」という慣習は、今の時代、数千万円の負債に変わるリスクを孕んでいます。特に医療機関や自治体など、公益性の高い組織ほど、労基署の目は厳しくなっています。


今回の8,300万円という数字は、決して人ごとではありません。


「名ばかり管理職」になっていないか、今一度、就業規則ではなく「現場の働き方」を確認することが、最大の防衛策となります。

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