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社内恋愛と服務規程 〜「恋愛禁止」はあり?なし?

社内恋愛。


どの職場でも耳にする“ちょっと気になる話題”ですが、実は、労務管理の観点では立派なリスク要因にもなり得ます。


「うちの部署のA君とBさんが付き合ってるらしいよ」

「上司と部下らしいぞ、ちょっと問題じゃないか?」


こんなささやきが、ある日、労務トラブルの火種になることも。


たとえば、上司と部下の交際。交際中は問題がなくても、破局後に「パワハラを受けている」と訴えられたり、周囲から「ひいきされていた」と感じられたりすることがあります。


人間関係がもつれると、職場の空気もピリつきます。

評価の公平性、チームの士気、情報管理──思った以上に影響は大きいのです。


■ 服務規程に「社内恋愛禁止」と書けるのか?


ここで出てくるのが、服務規程での対応。

よくご相談いただくのが、「社内恋愛を禁止してもよいのでしょうか?」というものです。


結論から言うと、恋愛そのものを一律に禁止することは、原則として難しいのが実情です。日本国憲法における「個人の尊重」や「プライバシーの権利」などに照らすと、私生活に過度に介入することは望ましくありません。


ただし、業務に支障がある場合や、職場秩序が乱れる場合には、一定の制限やルールを設けることは可能とされています。


■ 実際にある社内恋愛ルールとは?


「恋愛そのものを禁止する」のではなく、次のようなルールを設けている会社もあります。


  • 上司と部下の交際については人事部への届出制

  • 同一部署内での交際はどちらかが異動する可能性がある

  • 交際が原因でトラブルが起きた場合は懲戒の対象となることがある


これらは、あくまで“恋愛の禁止”ではなく、“業務への影響を最小限にする”ための方策です。


■ 判例から見る「懲戒処分」は?


実際、過去の裁判例でも、社内恋愛そのものを理由に懲戒処分を下した事案は極めて少なく、多くの場合、「交際が原因で職場の秩序が著しく乱れた」など、業務影響が明確な場合に限られています。


たとえば、指導的立場にある社員が、複数の部下と関係を持っていたことで、職場全体の信頼を損ねた──このような事案では、懲戒が有効とされたケースもあります。


■ 「恋愛禁止」よりも「リスク管理」の視点を


職場における人間関係は、実にデリケートです。

恋愛も含めて、職場に人が集まる以上、何が起こっても不思議ではありません。


大切なのは、「禁止」することではなく、「問題が起こったときに、どう対応するか」「ルールを明文化しておくこと」。


服務規程は、その指針を示す大切なツールです。


■ 最後に:規程の整備、見直してみませんか?


「うちはそういうの、今までは口頭で済ませてきたから…」

そうおっしゃる企業様も少なくありません。


ですが、今や働き方や人間関係も多様化し、何がトラブルになるか、予測しづらい時代です。リスクを未然に防ぐには、あらかじめルールを整えておくことが大切です。


社内恋愛に限らず、服務規程の整備や見直しについて、ご不安やご相談があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。企業の“人と組織”を支える社労士として、現実的で柔軟なご提案をさせていただきます。

 
 
 

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